エデンの園で会いましょう
17.Marry

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「ラティカ様、とってもお綺麗です……」
 傍らでマチが目を潤ませている。
「ありがとう、マチ」
 にっこりと微笑み、マチの浮かんでいる涙をすくってやる。
 今、私はボスディア家庭園のテラスにいる。
 どこを見ても素敵なバラ。
 エデンの園で純白のドレスに身を包み、愛しい人を待っている。
「ラティカ、準備はできた?」
 ロザンヌが上品な藤のスーツに身を包み、バラのアーチから姿を現した。
「ええ、大丈夫よ」
「ラティカ、おめでとう……。色んなことがあったけれど、今が一番幸せに笑えてるね」
 ロザンヌの言葉に不意をくらい、涙がこぼれる。
「ちょ! ラティカ、なに式の前に泣いてんのよ!?」
 ぽろぽろとこぼれる涙にロザンヌが慌てふためく。
 その姿があまりに滑稽で、つい噴き出してしまった。
「ラティカぁーっ!」
 泣き出したと思えば、笑い出した私にロザンヌもつられて笑い出す。
「こちらは明るいな」
 アーチの奥から聞こえた。
 笑い声が止み、そちらへと視線が移動する。
 漆黒のタキシードに身を包んだ愛しい人がそこに立っていた。
「ケイシュ様……」
 愛しい人を視線に捕らえただけで涙があふれてくる。
 ただ、静かに涙があふれ、心に光が満ちてくる。
「ラティカ……」
 再び突然泣き出した私にケイシュ様は目を細め、近づいてきた。
 耳元でそっとささやいた。
「ラティカ、迎えに来たよ……」
「お待ちしておりました……ケイシュ様」
「様はもういらないよ。俺たちは夫婦になるのだから」
「はい……ケイシュ」
 私たちは共に手を取り、式会場となっているエデンの園中央部――私たちが初めて出逢った場所へと向かう。
 ケイシュ……一緒に幸せになろうね。


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