本日はカイミャくんとショッピング。
ガリウラも荷物持ちという名目で付いてくる。
玄関にはミセス.マクアドをはじめ、カイミャくん付のメードとマチが見送りに並んでいた。
「ラティカさま、お気をつけて」
「ええ。ありがと、マチ。何か、お土産を買ってくるわね」
「そ、そそそそんなっ!! 滅相もないっ!! ラティカさまは、ラティカさまのショッピングを楽しんで下さいませっ!」
マチの周りのメードたちはほほえましそうに皆、破顔している。
「? まぁ、わかったわ。行ってきます」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「先生っ、早くっ!!」
カイミャくんが一足早く馬車に乗り込み、はしゃいでいる。
(お出かけ、久しぶりなのかしら)
「今行くわ」
カイミャくんに急かされ、私も馬車に乗り込む。
ガリウラがミセスと何言か交わし、馬車に乗り込んだ。
「行ってきまーす!」
カイミャくんが嬉しそうに馬車の窓から手を振る。
「お気をつけて!!」
出発して約50分。
街の中心に位置する広場へとやってきた。
そこで馬車とは一時お別れ。
ここからは歩いてショッピング。
んー、と伸びをする。
懐かしい空気を一杯に吸い込む。
最近、街に全然出れなかったしね。
「さて、ここからどうしましょう?」
ガリウラがそう切り出す。
「カイミャくんはどこか行きたいとこ、ある?」
「そうだなぁ、本屋に行きたい」
「本屋? どんな本をお求め?」
いいお店、色々と知ってるのよね。
「海賊の話が載ってる本なんだ」
「おとぎ話? それとも、歴史書?」
「えと、わくわくする方……」
また、難しいご注文で……でも。
「じゃあ、両方ある本屋に行きましょうか」
そう言うと、ガリウラは目を丸くして。
「そのような本屋があるのですか?」
「ガリウラ、今まで専門な本屋しか行ったことないでしょ?」
ガリウラはそんな指摘にウッと唸った。
……図星かしら。
「さぁて、さくさく行きましょう。カイミャくん」
「うんっ!」
広場からしばらく歩いて着いた本屋。
中に入ると、皆、それぞれ好きな場所へと移動した。
ガリウラはカイミャくんの傍についていたけど。
私はロザンヌの働いている出版社の雑誌を探す。
「えーっと、レスタ……レスタ……あった!」
開いて、ロザンヌが受け持ちのページを探す。
ロザンヌのページは社交界の近況やマナー、社交界の初心者向けのコーナーだった。
「これ、カイミャくんに使えないかな……?」
そうこぼし、雑誌を脇に抱え、他の本を物色することにした。
「一杯買いましたねぇ」
ガリウラさんの言うとおり、カイミャくんは両手に抱えきれないほどの本を買っていた。
私も私で色々と買っちゃったけど。
レスタをはじめ、社交界に関する書物や楽譜など色々と。
「うん、面白そうな本が一杯だった。先生はどこ行きたい?」
「うーんと、ハーブのお店、行ってもいい?」
「ハーブの、ですか?」
「よし、じゃあ、次はハーブのお店っ!」
「ありがとう」
ガリウラはただただ、呆れるだけだった。
「楽しかった」
カイミャくんが馬車の中でそう呟いた。
「よかったですね」
ガリウラが目を細めて、嬉しそうに返す。
「また、出かけましょうね」
にっこりと笑い、ふたりに問いかける。
「うん。また、行こう。先生、今度は兄上も一緒に行ってもいい?」
「ええ、全然いいわよ」
「約束だよ」
その後、カイミャくんに嫌というほど指切りをさせられた。
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