「まぁ、いいじゃないか」
悟はその一言で終わらせてしまった。
なんとなく話す内容もなくて、まったりと寄り添う。
「……なんだか腹減ってきたな」
悟が誰にともなくつぶやく。
「何か作ろうか?」
そう返すと、作れるのか、なんて見つめてくる。マジそれは失礼じゃありません?
「炒飯くらいは作れますー!」
「でも、前焦がし……」
「しっつれいなッ!! 今度は上手く作れるわよ!」
そう言いながらも、頭の中は前回作ったちょっと焦げた炒飯。こ、今度こそ上手に作ってみせるわよ!
なんて、意気込んでキッチンへと向かう。
悟は何故だかその後ろを付いてくる。
「? 悟、ついてこなくても毒なんて入れないよ?」
「別に見張ってるわけじゃないさ。ただ、望が料理を作ってるときの揺れる髪が好きなだけだ」
なっ!?
思わず、顔が真っ赤に火照る。でも、すぐに気づく。
「料理をしてるときの私じゃなくて、そのときに揺れる髪の毛が好きなの!?」
ついつい語尾が怒気をはらんでしまう。
悟は慌てて修正するけど、もう遅い。
「悟はあっちいってて!!」
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