私は今、草原の端に植わってる大きな大きな樹の幹に腰掛けている。
さわさわって風が葉々を揺らし、癒しのメロディーを奏でている。
ジュグはというと、今、お婆さんの所に呼ばれている。
私が帰れることを祈って、宴を開いてくれるらしい。
私も手伝いたかったな……。
また、さわっと樹がささやく。
その音に誘われ、上を見上げる。
相変わらず、葉々が光をぼやかすように互いに合わさっている。
んーっと、伸びてみる。
気持ちいい。
それにしても……。
「この樹、どうしてこんなに気持ちがいいのかな?」
樹に触れているだけでひどく安心する。
故郷にいるような、ううん、お母さんに抱っこされているような、そんな感じ。
すごく安心する。
「ふわわ」
なんだか、眠たくなっちゃった。
まだまだ宴の時間までは暇があるし、ちょっとだけでも一眠り、しちゃおうかな?
私はそのまま、誘われるように、瞳を閉じた。
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