1年365日のお題
挑戦中

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君を動物に例えると

 彼女は気まぐれだ。彼女の気が向いたとき、彼女は僕の前へと現れる。
 今日もそんな日だった。

 学校の帰り道、角を曲がったらいつもの場所に彼女がいた。彼女はいつものようにグレーの制服だった。僕は黒地の制服だから彼女とは別の学校ということになる。
 彼女との出会いは印象的で、今日と同じ学校の帰り道で突然声をかけられた。「君は犬みたいだな」と。そのときの僕は面食らってしまい、何も返すことができなかった。
 それから彼女と僕の帰り道の関係が始まった。と言っても、毎日会うわけではない。本当に彼女の気が向いたとき、いつもの場所にいるのだ。

 先を歩いていた彼女が突然くるりとスカートを翻しながら振り返った。
「君は本当に犬みたいだな」
「そういう君こそ猫みたいだ」
 そう間髪入れずに伝えた。
 彼女は虚を衝かれたような顔をした後、ふんわりと笑った。